『ともに生きることば』読了。日々のケアについて考えさせられた1冊。

書評「ともに生きることば」

久々の書評記事更新になります。

前回の読んだ「限りある時間の使い方」の書評記事が12月14日だったので、2か月位読書してなかったようですね。

「限りある時間の使い方」、ボリュームが多かったわけではないんですが考えながら読んでいたので読書に対する燃えつき症候群が起きていたような気がします。

面白かっただけに書評ブログにまとめたいことがいっぱいありすぎたのも読書から足が遠くなった一因だったかなーと反省。

今後は書評記事はサクっとまとめていこうと思います。

閑話休題。

今回読んだのは、金子 智紀さん・井庭 崇さん著の『ともに生きることば』。

久々に仕事関係の本を読んだ気がします。

読了してみて、職員研修等にもよさそうな1冊だと感じました。

今回も大切だと思ったポイントをまとめたので、もしよければ最後までお付き合いいただければ幸いです。

目次

『ともに生きることば』はどんな本なのか?

まず『ともに生きることば』についての基本情報を下記の通りまとめました。

著者金子 智紀
井庭 崇
価格1,430円(税込)
発行日2022年1月26日
出版社丸善出版

ケアや場づくりで重要だと考えられる”ことば”30個とそのことばの説明が基本的な構成となっています。

この本を活用したワークショップ等についても書かれているので、高齢者施設での職員研修にも役立ちそうな1冊。

様々な世代の人が集待っているグループでのイメージの共有に使えそうですね。

職場内での職員研修、だんだんネタに詰まってくる(デイ体験談)ので、こういうのがあると重宝しそう。

『ともに生きることば』、3つの学び

ケアについて

高齢者に限らず、人をケアする上で大切なことが沢山かかれていました。

その中でも、

  • “どのように生きていくか”を一緒に考える
  • 本人の感じている世界を内側から理解する
  • 時間をともにして、寄り添うことが大切

ということが『ともに生きることば』で大切だと思ったポイント。

“どのように生きていくか”を一緒に考えるということ、ケアしていく上でとても重要だと思います。

この間、知り合いと話していて、

「ケアマネージャーじゃなくて、ケアプランナーになってる人、結構いるよね。」

という話が出ました。

ケアをマネジメントせずに、介護の計画だけを立てるケアマネさんがいるという話、悲しいかな少し納得してしまった自分がいます。

この本の中で、日々の”生活”の支援はできても、本人の”人生”に関わっているとは言えないという言葉とも合致していて僕や知り合いだけが感じている問題じゃないんだなぁということを知ることができました。

この本を研修に使って、まずは自分の周りと”人生”に関わるケアを一緒に考えていきたいです。

次に”本人の感じている世界を内側から理解する”ということ。

本人に寄り添ったケアという点でとても大事だと思うんですが、中々実践するのが難しい点なんですよね。

初任者研修で入浴の講師をしている関係で様々な受講生さんを見てきたんですが、”介護の仕方”をしっかり勉強するという意識の人はいても、”介護される人の気持ちを理解する”ということまで考えていない受講生さんが多いように感じます。

実技の時に”やる側”だけでなく、”やってもらう側”が重要だということを毎回説明するんですが、説明する本人も”内側から理解する”ということをおざなりにしてしまう時があるので注意したい所ですね。

あと、”時間をともにして、寄り添うことが大切”という点。

具体的ではないんですが、腑に落ちる言葉でした。

何かを話したり手助けをしたりするのではなく、そこにいるだけでもケアであるということも忘れないようにしたい所です。

職場などの環境づくり

環境づくりの点で重要だと思った点が、”失敗を笑いあえるようにすると人間味あふれる場所になる”ということ。

完璧な人や場所であろうとすると、のびのびとした自由さにかけて息苦しくなるという点、とても理解できます。

仕事をしていると、完璧を求めようとしてしまうという気持ちもとても分かるんですよね。

真面目に仕事はしつつ、息苦しくならないように仕事をしていきたなーと感じました。

福祉施設と地域のかかわり

福祉関係の施設において、周囲からの理解や世代を超えての繋がりって大切。

デイサービス相談員時代、近くの保育園の子供達のお遊戯を見ている時の利用者さんの幸せそうな表情ったらないんですよねぇ…。

『ともに生きることば』でも地域とのかかわりについての記述があり、僕が重要だと思ったのは、

  • 地域にひらく、内と外を区切る境界をゆるめることで地域とのかかわりが生まれる
  • 開かれても「その施設に行ってみよう」と思える能力や理由が必要

という2点。

どうやって地域と関わるかを考えるときに自分たちから地域にひらいた施設になって内と外の境界を緩めるということ。

単純なことだけど意識しないと抜け落ちちゃうこと、結構あるんですよね。

これに合わせて地域の人が「行ってみよう」と思える理由を考えるということ。

当たり前と言えば当たり前なんですが、改めて言語化することで意識することができるものなんですね。

ケアへの想いを共有するのに良さそうな1冊でした!

『ともに生きることば』、初めて家族の介護をする人の入門書としても介護上級者のリファレンスマニュアルとしてもよい本だと感じました。

ボリュームも少な目なので、忙しい介護職の人でも読める1冊ではないかと思います。

介護経験が長い人だと全体的に当たり前のことばと感じるかもしれませんが、おろそかにしがちなことがたくさん書いてあるので、経験が長くなってきた人ほど読んでみるといいんじゃないでしょうか?

中古市場にほとんど出回っていないので、Amazon新書での購入とかが早く買えてよさそうです。

それでは今日はこの辺で。

最後までお読みいただき、ありがとうございました!

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