この記事は、2022年8月6日に自分(社会福祉士)がスタッフとして関わった、北海道白老町で行ったデスカフェの記録です。
“死”をタブー視せずに気軽に話し合う場、”デスカフェ”。
スイスの社会学者Bernard Crettazさんが始めたとされており、1999年ごろから現在まで世界各国で行われています。
デスカフェと一言でいっても様々な形式があり、日本国内で行われているデスカフェの情報がまとまっている「デスカフェポータル」を見るとバラエティーに富んでいることが確認できますね。
吉川直人教授が書かれた「デスカフェ・ガイド」にも、情報がまとまってます。
以前、自分が”デスカフェ、やってみたい!”と思った時に、他のデスカフェでは、
- どんな内容で
- どんな時間配分で
- どんなことを考えて
運営しているのか、あまり情報が出てこなかったので、暗中模索でデスカフェを開催した経験がありました。
なので、僕が関わったデスカフェは可能な範囲で情報を公開していこうと思います。
「デスカフェを始めてみたいけど、どんなことをすればいいんだろう…?」
という人や、
「他のデスカフェではどんなことをしているんだろう…?」
という人のヒントになれば嬉しいです。
デスカフェ@白老について
概要
日時 | 2022年8月6日(土) 11:00~15:00 |
会場 | しらおい創造空間「蔵」 |
スタッフ | 納棺師1名 社会福祉士1名 |
内容 | ①納棺体験 ②プチ弔辞ワーク ③想いの共有 |
目標 | 「死を考えることは生きることを考えること」という想いを共有する |
その他 | 当日ボランティア1名が終日お手伝いで参加 |
今回のデスカフェは、白老のNPO法人ウテカンパ主催の『ふくし×まちづくりフェア』の1コーナーとして開催。
そのため、出入り自由なワークショップ型という変則的な形でのデスカフェ開催となりました。
タイムテーブルと当日の流れ
時間的にはこんな感じです。
時間 | やること |
9:30~ | 集合・設営開始 |
11:00~ | デスカフェ開始 |
15:00~ | 終了・撤収準備 |
15:30 | 完全撤収(おつかれさまでした) |
納棺体験用の棺を会場に入れたり、机の配置とかをあれこれしてたらあっという間に1時間半経過してましたね。
前日のボランティアを募集して1名動けていただけたので、かなりスムーズに設営、撤収できたのが本当に助かりました…ボランティアのW君、本当にありがとう…!
で、今回のデスカフェは『ふくし×まちづくりフェア』でデスカフェを体験してみたい人が来たらそこからスタートという形だったので、このような流れで実施しました。
参加者がA5の色画用紙に
①デスネーム(デスカフェで使うあだ名)
②棺に入る前の感想(棺に対して、死生観に対して)
を記入。
社会福祉士から参加者に簡単なインタビューをして弔辞を作成。
参加者にお棺に入ってもらい、納棺師が蓋を閉める。
蓋が閉まった状態で、社会福祉士が作成した弔辞をボランティアに読んでもらいます。
納棺師が棺の窓を開け、ボランティアと一緒に合掌。
その後蓋を開けて、納棺体験終了。
納棺体験の感想を最初に書いたA5の画用紙に記入。
その後、感想や死生観について話し合う。
受付から納棺体験終了までは10分弱、その後は参加者の時間の許す限りお話を聴かせてもらいました。
”想いを置いていく”ということを意識するため、感想を書いた画用紙は会場に設置したホワイトボードに貼って展示。
俯瞰してみるとまた新たな発見があったりします。
開催前の準備
白老でのデスカフェをどういう形で開催するか、苫小牧の正光寺さんで事前に内容を検討しました。
検討した時のメンバーは当日スタッフの納棺師と社会福祉士に加えてコミュニティナースで検討。
“1時間ごとに枠を作ってデスカフェをする”、”ミニデスカフェ”などを検討しましたが、最終的に上記の流れに。
流れを決めてから必要な物品も下記の通り用意することにしました。
- 棺
- 棺の下に敷く物
- A5の色画用紙
- 細いマッキー(色々な色のやつ)
- クリアファイル(マッキーの裏写り防止)
- 予約表
- 看板
- 名札と名刺カード
看板はこんな感じの看板を作りました。
看板はCanvaでさらっと作成。
素人が作ってもそれっぽくしてくれるので毎度助かってます。
無料でもそれっぽいものが作れるのでおススメのサイトです。
デスカフェ開催当日
当日の会場設営完了後の写真がこんな感じ。
白老町の「蔵」は本当の石倉をイベントホールとして使っている珍しい場所です。
開始して早々、同時に数人の納棺体験希望者が来たので、ひっきりなしにインタビューして弔辞を作成しました。
用意していた名札、書いてもらう時間も付ける時間も厳しい感じでしたね。
感想を書く画用紙にデスネーム(あだな)を書くので、次回同じ形式でやるときには名札はいらないかもしれないなぁと思いました。
あとフェア形式で色々なブースを見たい人が多かったのか、少し話して席を離れる方が多かったですね。
体験してくれた人ともう少し対話できればなーとも思いましたが、それに関しては時間を決めたデスカフェの方が向いているんだなーということを感じました。
ただ、フェア形式でやってみると、10名以上の方が納棺体験をしてくれたし、フェアに来ていた人が納棺師さんと色々なお話をしていた場面がちらほら。
死について気軽にふれる機会となったんじゃないかなぁと感じた1日でした。
デスカフェ@白老を振り返ってみて
「死を考えることは、生きることを考えること。」をテーマに開催した、デスカフェ@白老。
参加者がカフェを退席する時にこの言葉について説明するようにしていましたが、説明の前から感想にそのようなことを書いていたり、対話の中でそういった話になったときはなんだか嬉しかったです。
皆さんが書いていってくれた画用紙には様々な想いが書かれていて、大変味わい深いものがありますね。
今後、納棺体験で集まった感想を眺めながら対話を深めるデスカフェもいいかも…と、片付けながら納棺師さんと話をしている間にデスカフェ@白老、終了となりました。
今後も自分が関わったデスカフェはこんな感じで記録していこうと思うので、引き続き他の記事もチェックしてもらえれば幸いです。
それでは今日はこの辺で。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!