この記事は『デスカフェ・ガイド―「場」と「人」と「可能性」』を読んだ感想と、実際にやってみた感想をまとめています。
昨年、仕事の関係で”デスカフェ”なるものの存在を知りました。
はじめて聞いた時にデスカフェについて説明してもらったんですが、ざっくりまとめると“死について気軽に、カジュアルに話し合う場所”というもの。
以前から仕事をしていく中で死後事務(だれかが無くなった時に親族が相続などの事務をすること)などについて、今後サポートが必要になるのではという意識があったので、デスカフェについて説明を受けてからかなり興味がありました。
実際に業務で一度デスカフェができることになって色々調べていたところ、『デスカフェ・ガイド―「場」と「人」と「可能性」』という本を発見したので早速読了。
僕が読んで重要だと思ったポイントと、現時点でデスカフェについて感じたことをまとめたので、もしよければ最後までお付き合いください!
そもそもデスカフェとは?
“死について気軽に、カジュアルに話し合う場所”と冒頭で説明したデスカフェ。
デスカフェのはじまりはスイスの社会学者さんだそうで、その後イギリスを中心に発展していったそう。
概要についてもう少し詳しく説明すると、こんな感じです。
- “死”を受け入れ、話し合う場所
- 内容は”グリーフケア”・”死の探究”・”ワークショップ”など様々
- 時間は一般的に1回90分~180分程度
- 昨今はZoomなどを使ってオンラインでも開催
- Deathcafe.com(英語サイト)でガイドラインが定められている
グリーフケアという単語、あまり聞きなれない人も多い単語ではないでしょうか?
ざっくりまとめると、”死別によって不安定な状況になった人へのさりげないケア”のことなんですが、グリーフケア協会公式サイトに説明があったので、詳しくはこちらをご覧ください。
死別を経験しますと、しらずしらずに亡くなった人を思い慕う気持ちを中心に湧き起こる感情・情緒に心が占有されそうな自分に気づきます(喪失に関係するさまざま思い:「喪失」としてまとめます)。また一方では死別という現実に対応して、この窮地をなんとかしようと努力を試みています(現実に対応しようとする思い:「立ち直りの思い」としてまとめます)。この共存する二つの間で揺れ動き、なんとも不安定な状態となります。同時に身体上にも不愉快な反応・違和感を経験します。これらを「グリーフ」と言います。グリーフの時期には「自分とは何か」「死とは…」「死者とは…」など実存への問いかけをも行っています。
このような状態にある人に、さりげなく寄り添い、援助することを「グリーフケア」と言います。
日本グリーフケア協会公式サイトより
あとワークショップに関しても”死生観光トランプ”や”もしバナゲーム”など、様々なグッズも出てきて、国内でもひそかなムーブメントが起きています。
“死生観光トランプ”は世界各地の死生観が描かれたトランプで、普通にトランプとしても遊べるし、いろいろな死生観にふれあえるトランプ。
“もしバナゲーム”はWebで遊ぶことができるので、興味のある人はぜひ一度やってみるといいと思います。
この他にも棺桶に入ってみる納棺体験をしてみたりと、とにかく参加する人が気軽に参加できるようなものがあれば内容はかなり自由な感じですね。
語る内容も”自分の死”なのか、”近しい人の死”なのか”第三者の死”なのかなども様々。
進行方法なども特別なルールは特にないんですが、Deathcafe.comのガイドラインを読み解くと、
- 一人一人が自由に自分の考えを表現できるようにすること
- 特定の結論を出そうとしないこと
- カウンセリングやお悩み相談になりすぎないようにすること
は事前に説明しておくとよさそう。
③が非常に難しいところなんですが、お悩み相談がメインになってしまうと、
“悩んでいる人を想い、気遣って返した言葉が心を傷つけてしまう”
ということにつながってしまう、グリーフケアの難しさが出てきてしまいます。
気軽に、カジュアルに死について話しあう場面としてのデスカフェの趣旨から離れることがあるということをこの本を読んで学びました。
説明の時にはお互いに話を聞く姿勢を持つこと、考えを押し付けないことなども併せてお伝えしておきたいところ。
ただ、ガイドラインに縛られ過ぎて窮屈な感じにならないようにすることも重要なので、そのあたりのバランスもうまくつかんでいきたい所ですね。
『デスカフェ・ガイド』を読んで重要だと思った部分
デスカフェの魅力とは?
『デスカフェ・ガイド』で知ることができた魅力やメリットをまとめてみました。
- もしもの時の話し合いをしておく場所
- 参加者それぞれがとらえている死に関する想いや物語を話しやすくする場所
- 共通のテーマで話し合うことで産まれる普段得られない関係性
- 対話する中で、自分の考えた感情、思いに気付ける
デスカフェをやってみると、これらのメリットが合わさって、非常に貴重な体験を得られる魅力的なカフェでことを実体験として感じましたね。
実際にデスカフェをやってみたい人や、デスカフェに興味がある人には非常にわかりやすい入門書だと感じたので、気になる人は是非読んでみて欲しい一冊です。
クロージングが大事
『デスカフェ・ガイド』でもそうですし、デスカフェ関係者の方へ、”デスカフェをやる時に重要なことは何ですか?”と聞いた時にも出たことが、
“クロージングを大事にする”
ということでした。
クロージングではカフェの最後にその日思ったことや感じたことを話します。
これによって、その場に置いていくことで日常に戻るという一つの区切りをつけることになるんですが、”死”についてカジュアルな形でもエネルギーを使うものなのか、結構疲れ出たんですよね。
明確になぜなのかという説明は難しいんですが、”最後に想いを置いていく”ということは、とても重要だと感じました。
実際にデスカフェをやってみて感じたこと
ありがたいことに会社で”デスカフェ”について話したところ、上司が気持ちよくゴーサインを出してくれたので、先日一度試験的に開催してみました。
内容は、
- デスカフェについての説明(10分程度)
- キートーク – 身内の死について(15分程度)
- 懇談(60分程度)
というもの。
デスカフェを行う前に自分の弔辞を読む”弔辞ワーク”というものを参加者の人に取り組んでもらってからデスカフェを行いました。
懇談を通して、死について考えることで明日からの生へのモチベーションが上がった感じがしましたね。
あと、”自分が思いのほか親の死に抵抗感を感じている場面”について気づけたりして、先ほど挙げた魅力を実際に感じることもできました。
カフェのクロージング終了後にカフェ参加者に”参加してみての感想”を聞いてみたんですが、
「終活セミナー等は事務的な話が多かったので、今回のような人間的な話をメインでする集まりは新鮮だった。」
という意見がとても印象的でしたね。
僕自身、参加して色々な気付きを得たので、また今後もデスカフェを行っていければなぁと思っています。
実際の事例も調べながら、再度チャレンジします!
誰もが当事者になる”死”。
自分も必ず死ぬ存在だと思い越すことで”生”について考えるきっかけとなるデスカフェは、日常を豊かにしてくれるツールになるのだなぁということを感じました。
今後、他のデスカフェへの参加や、自分でデスカフェの企画なども考えていこうと思います。
近々、オンラインでの開催できればなーと思っているので、もしよければ参加してくださいね!
それでは今日はこの辺で。
最後までご覧いただき、ありがとうございました!