専門職を名乗るなら、認知症についての勉強は定期的にしなきゃならんな。
と思い、『認知症世界の歩き方』を読了。
認知症の捉え方を病理学的な”医学モデル”から本人の生活に基づいた”生活モデル”への転換期となっている昨今のトレンドの象徴ともいえる1冊ではないかと思います。
ブログをご覧のあなた、普段認知症のある人と関わる時に本人の視点を理解してケア(パーソンセンタードケア)を行おうとしていますか?
僕もパーソンセンタードケアを意識するようにしていますが、今回の『認知症世界の歩き方』を読んで今以上に当事者への理解を深めなければなぁと感じました。
ブログをご覧のあなたも『認知症世界の歩き方』を読んで、改めて当事者視点で理解するということについて考えてみませんか?
『認知症世界の歩き方』は、
- 認知症当事者にフォーカスして作られた1冊
- “なぜそんなことをするの…?”を理解するヒントになる
- 認知症についての研究は日々進んでいることを感じることができる
という点でおススメできる1冊でした。
おススメについての詳しい説明も書いておきますので、もしよければ最後までお付き合いください。
『認知症世界の歩き方』はどんな本なのか?
『認知症世界の歩き方』の基本情報は下記の通り。
著者 | 筧 裕介 樋口直美,認知症未来共創ハブほか (監修) |
価格 | 2,090円(税込) |
発行日 | 2021年9月15日 |
出版社 | ライツ社 |
著者の筧 裕介さんは工学博士でデザイナーという経歴。
わが地元、苫小牧市で育ったという経歴もあるようで勝手に親近感を感じてます。笑
今まで高齢者福祉や認知症のことだと医療分野の専門家の方がメインで名前が出てくることが多かったですが、コミュニティデザイナーの山崎亮さんをはじめ、デザイナーさんの名前をよく見るようになった気がしますね。
認知症を施設や家だけでなく、社会で認知症のある人と付き合っていくというという社会の動き、この辺も”医学モデル”から”生活モデル”転換期の特徴なんでしょうか?
『認知症世界の歩き方』を読んでみて。

認知症当事者にフォーカスして作られた1冊
序章で”自分と自分の大切な人との生活をともに作っていく手引き”と書かれている通り、当事者視点にフォーカスされた1冊となっています。
認知症の捉え方が”医学モデル”から”生活モデル”へと変化してきた昨今、”どうやって認知症といきるのか…?”を考えていく上で当事者視点は非常に重要。
医学的な部分はすぐに変えることは難しくても、認知症に対する付き合い方や周りの環境は変えることができます。
『認知症世界の歩き方』では”旅人の声”という形で当事者の声を紹介しているんですが、その量が本全体の3割くらいと多め。
介護現場で介護していると認知症に関する様々なエピソードを経験するわけなんですが、今まで経験したことがないことや聞いたことがないことも結構あって勉強になりました。
認知症、本当に千差万別なんだなぁと感じさせてくれます。
全体を通じて、認知症を当事者の視点で正しく理解することの大切さを語りかけてくれている感じがしました。
“なぜそんなことをするの…?”を理解するヒントになる
“お風呂に入りたくない…。”
などの行為1つとっても、人それぞれ理由や原因は違うだけに理由を探して対応することが大切。
当事者の声に加えて考えられる原因等も数多く記載されているので、様々なヒントが得られます。
全体的に勉強になったんですが、現場を離れてからも初任者研修で関わり続けているお風呂については特に勉強になりました。
『認知症世界の歩き方』では入浴は”この世界には、入浴するたびい温度や匂い、肌触りなどが変わる不思議な湯が湧き出るどっきり温泉”の”七変化温泉”として紹介されています。
こういう面白い感じで一つ一つの症状を紹介しているのでサクっと読めるのも『認知症世界の歩き方』の良さですね。
当事者の声で”お風呂がヌルヌルしている”というのがあったんですが、自分は今まで聞いたことが無かった感想だったので学びになりました。
あと、のどが渇く感覚がないということは忘れないようにしたいなぁと再度認識。
デイサービス勤務時代、何度も入浴後の着脱で意識を失った人たちを思い出しました…。
お風呂以外も、介護についてヒントが欲しい時に該当する部分を読み返すとよさそうな気がします。
認知症についての研究は日々進んでいることを感じることができる
人は顔を認識するとき、何を見ているのか…?
様々な情報を処理しているそうなんですが、その中でも大事なのは口・鼻・目の細部の形ではなくそれぞれのパーツの位置間隔だそう。
これ以外でも、自分が知らない情報が結構あって、こういった研究は日々進歩しているんだなぁということを感じました。
学びを止めずに、良い専門職となれるようにがんばろうと思います。
認知症当事者の視点で理解することの大切さを感じる1冊
認知症当事者視点から考えることで”なぜそんなことをするの…?”を理解できる『認知症世界の歩き方講座』。
認知症の研究が進んでいることがわかって、学びの必要性を感じられる1冊なので、専門職にもぜひ一度読んでみてもらいたい1冊です。
ブログをご覧のあなたも『認知症世界の歩き方』を読んで、改めて当事者視点で理解するということについて考えてみませんか?
HPも面白い作りになっているので、お時間のある人はぜひ訪問してみて下さい。
5月25日に認知症世界の歩き方講座を受講する予定なので楽しみです。

それでは今日はこの辺で。