先日、『ケアする人のプロジェクトデザイン』という本をお借りして読ませてもらう機会がありました。
『ケアする人のプロジェクトデザイン』は、”地域の困りごとに住民が楽しんで参加して解決に取り組めるような仕組みづくりのヒント”が詰まった1冊。
高齢者サロン(高齢者が集まって話したりする場所)に関わる仕事をしている自分には大変勉強になりました。
具体的には地域課題に取り組むためのプロジェクトの作り方を、
- 事例を収集する
- 仲間を集めてアイデアを発想する
- アイデアを企画にする
- どんな人に来てもらいたいかを考える
- 参加者募集
- 活動期間と見通しの設定
- 小さく実行して運営する
- 成果物の作成と効果検証
という8つのステップに分けて、解説している本になります。
解説も図や写真を用いて、100ページ程度で短めに分かりやすく解説してくれているので、地域福祉やまちづくり関係で働く人はぜひ1度読んでみて欲しい1冊です。
実際、非常にいい本だったので僕も手元に置いて仕事をしたかったので、一冊購入しました。
地域に出る上での“自分の強み”を知るワークなどもあるので、研修などでも使えそうだなーと思ってます。
今日は『ケアする人のプロジェクトデザイン』を読んでみて、僕が重要だと思ったポイントと感想をまとめておくので、何かの参考やヒントになれば幸いです。
対等な関係性とそこから生まれる対話が、自分の力を見出して行動することに繋がる
地域での活動では、専門職が課題を解決するのではなく、地域の人達が解決するように行動することを目指します。
なので、専門職(課題を解決する人)が解決方法を困っている人に教えると、課題を解決する力や手段を奪ってしまう可能性が出てきてしまう。
『ケアする人のプロジェクトデザイン』では、そうならないために、専門職も一人の“生活者”として関わることが重要と書かれています。
“何が地域で課題で、何を解決するべきなのか?”
の方向性があったプロジェクトにするためにも、
- 住民のみなさんに話しかけてもらえる
- やる気になってもらえる対話ができる
ということが大切。
その具体的な方法の中でも実践すぐ実践できそうなものが2つありました。
“あいつ、暇そうだなぁ”と思われるような人間を目指す
この本を読んですぐに取り組んでいきたいなぁと思ったのがこれですね。
住民の皆さんに話しかけてもらうにはどうすればいいかの究極の答えな気がします。
「暇そうだからちらっと話しかけてやるか…。」
と思ってもらえるような雰囲気を作るのって逆に難しいと感じるのは僕だけではないはず。
会社で仕事をする上で”しっかり仕事やってます!”感を出すことって重要だと思ってかれこれ10年間やってきてたので、染み付いている働き方をちょっとずつゆるーくして話しかけやすい雰囲気を作れればなーと思います。
あと、暇そうに見えるために、タスクをしっかり分散させていつでも時間を取れるようにしておく必要があることを考えると、”暇そうに見せる”ためにしっかりスケジュールを管理しておくことも大切にしなきゃなぁと感じました。
肯定→便乗して提案の“Yes andコミュニケーション”
「住民と話す時、どうすれば住民の皆さんのやる気が上がるのか?」
という回答として、今回の本では”Yes andコミュニケーション”というものが提案されています。
相手が言ったことをまずポジティブに肯定して、そのあとに
「そういうことだったら、こういうのも足してもいいかもしれないですね。」
という感じで自分の提案を載せていくというもの。
これ、思い返してみるとこの本を貸してくれた人がすごい上手く使ってたなーと気づきました。
自分もそれで非常にやる気がでたのでぜひ取り入れていこうと思います。
“Yes andコミュニケーション”の練習法も載っていたので、いずれ職場内の研修などで使っていきたいです。
プロジェクトはAARサイクルで小さく実行、こまめに記録
この本を読むまで”AARサイクル”という単語自体全く聞いたことがないものでした。
AARサイクルとはAnticipation-Action-Reflection(見通し、行動、振り返り)というサイクルのこと。
従来よく使われるPDCAサイクル(計画、実行、評価、改善)よりも早いスパンでサイクルを回すことが可能となっています。
この3年間、コロナの影響などで直前の企画変更など、PDCAサイクルでは対応できないことが結構あるのを痛感していたので、AARサイクルを知ることが出来たのは大きな収穫でしたね。
早いスパンで企画を実施していく上で、AARサイクルを意識して取り組んでいこうと思います。
また、プロジェクトに関しての記録をしっかりとって、次回につなげていくという部分も忘れずに行っていきたいところです。
企画をする上で気を付けたい具体的な3つのノウハウ
自分に都合のいいペルソナを設定しない
ペルソナ=人格
企画をする上で、どんな人に参加してもらいたいかを考える時に設定することが多いペルソナ。
ペルソナを架空の人で考えるとどんどん自分に都合のいいペルソナを形成してしまいがち。
住民からの話など、実態に基づいた、具体的にその人が想像できるペルソナ(なんなら具体的な知り合い)を設定することを忘れないようにしたいです。
企画だけでなく、このブログについても”どんな人に読んでもらいたいか?”を具体的にイメージした方が読んでもらう人の為の記事にできるので、近いうちに一度具体的なペルソナを設定していきたいですね。
デザインやネーミングセンスは良いものをたくさん見てマネする
良いデザインやネーミングをするためには、自分がイイと思った物をたくさんマネすることが大切。
忘れないためにいいと思った物をスクラップして収集したり、何かを作るときにそれらを1つの模造紙に貼るビジョンマップなどの方法も『ケアする人のプロジェクトデザイン』で紹介されていたので、実際に事業を行う時やアイディア出しをするときに活用していきたいですね。
あと、今回の本の中で紹介されていたアメリカの実業家ジェームズ・W・ヤング氏の言葉、“アイデアとは既存の要素の新しい組み合わせである”という言葉がすごく印象的な一言に感じました。
なるべく外にでたり新しい感性にふれて、色々な方向でよいものを作っていきたいなーと思います。
お金がなくてもお互い様と感じられるつながり作りを心掛ける
“お金がない状態でも相手に”お互い様”と感じてもらえるようにするにはどうすればいいのか?”
を考えるためには、相手は何を大切にしていて、どんなことで”お互い様”と思ってもらえるのかを考えることが大切。
この観点からも対等な関係性とそこから生まれる対話が大切なんだなーと感じます。
お願いや用があるときだけ話すのではなく、特に用もないけど話すような関係を構築できるようにしていきたいなーと思いました。
(そのためにもめっちゃ暇そうな人間でありたいと思います。)
地域で活動したい人にはぜひ読んで欲しい1冊でした!
なんとなく、社会福祉職って”支援する人”と”支援される人”っていうくくりで話をすることが多くて、今回の本ような“対等な関係性とそこから生まれる対話”っていうのは新鮮な感じがしました。
住民と同じ目線でプロジェクトを作っていく視点は、地域福祉やまちづくりでとても大切だと思うので、冒頭の8つのステップを意識して企画してみようと思います。
2,750円と少し高額ですが、地域で活動する人の質の向上につながる一冊だと思うので気になる人はぜひ読んでみてもらえれば幸いです。
それでは今日はこの辺で。
最後までお読みいただき、ありがとうございました!