世の中には科学では説明できない出来事があるらしい。
今回私を悩ませているのは、洋服ダンスに眠る「ハーフパンツ」である。
最近気が付いたが、そのパンツを履くと高確率でお腹が痛くなる。
気のせいかとも思ったが、何度も繰り返される腹痛の波を冷静に分析した結果、必ずこのハーフパンツを履いている時に限って起こることに気づいた。
履くときには「今日は平気かも?」と楽観的に構えているのだが、その度にお腹の中で小さな嵐が巻き起こる。
当然ながら医学的・科学的な根拠などまったくない。
「布が腹痛を引き起こす」という論文があるならぜひ読んでみたいが、おそらくそんなエビデンスは存在しないだろう。
それでもなぜか、そのパンツを履いた日に限って胃腸が不機嫌極まりなく、私は何度もトイレに駆け込む羽目になる。
正直、このパンツに呪いがかかっているのではと本気で疑い始めている。
誰かに呪いをかけられるような覚えはないが、もしかして製造過程で腹痛の神にでも取り憑かれてしまったのだろうか。
エビデンス主義者の私としては、根拠のない迷信やジンクスに基づいて行動を起こすのは極めて不本意なのだが、腹痛という現実問題が絡んでいる以上、今回だけは例外とさせていただきたい。
腹痛に論理もエビデンスも通用しないのだ。
そんなわけで、この呪われた(?)ハーフパンツをついに処分することに決定した。
捨てることに多少の罪悪感は感じるが、人生はただでさえ不確定要素に溢れている。
これ以上余計な不安材料を増やす必要はない。
ありがとう、ハーフパンツよ。
どうか安らかに眠れ。
