ダイエット方針を変更した。
これまで信仰してきた“沼”——すなわち、鶏むね・米・しいたけ・ワカメといった教義に則る食事スタイルをいったん離れ、より現実的な「カロリー&PFC(たんぱく質・脂質・炭水化物)」管理型へと移行したのである。
なぜか?
理由は簡単。
もっと自由に食べたかったからである。
いや、もちろん爆食するわけではない。
記録して管理する。
己の欲望を数字で律するという、理性vs食欲のハイテク戦である。
ありがたいことに、現代のコンビニはPFCとカロリーをすべて明示してくれている。
「おにぎり1個200kcal、たんぱく質6g…ふむ、今日は許す」などと、まるで栄養素の審判者にでもなった気分で昼食を選んでいる。
何なら棚の前で10分うろうろしている日もある。
挙動不審に思われていないことを祈る。
夕食はというと、大手チェーンの外食店が頼りである。
なぜなら、公式サイトにしっかりと栄養成分表が掲載されているからだ。
データ人間にとって非常に助かるサービスである。
ラーメン一杯の脂質に戦慄したり、うどんのたんぱく質の少なさに悲しんだり、外食の現実を知ることで、より己を律する気にもなる。
——ただし、である。金がかかるのだ。
昼に800円、夜に900円。
週5働けば、月の食費はあっという間に3万円台後半へ突入する。
一方、自炊。
これはコスト的には魅力的であるが、いかんせん美味くない。
鶏むねがパサつき、米はヌルヌル。
レパートリーも乏しく、台所は敗戦国のような空気になるのだ。
加えて問題なのが朝である。
自炊には朝の準備が不可欠。
だが、朝がつらい。
アラームが鳴っても脳が動かない。
目覚ましを止めた記憶がないのに止まっている不思議現象もよく起こる。
結局、金策のために自炊するか、快適さと味と記録のしやすさを取って外食を続けるか。
この二択に悩む日々が続いている。
身体と財布、どちらが先に悲鳴を上げるか——。
このダイエットは、どうやら長い戦いになりそうである。