健康とは、努力によって守られると信じていた。
睡眠を取り、バランスの取れた食事を心がけ、手洗いを欠かさない。
気をつけるべきところは気をつけている。
だが、体調不良というものは、こちらの努力をあざ笑うかのようにやってくる。
つい先週、風邪を引いた。
喉が痛くなり、鼻が詰まり、咳が出た。
季節の変わり目というやつか、などと呟きながらマスクを強化し、早めに布団に入って回復を目指した。
風邪は時間と休養が解決してくれると、そう思っていた。
ところが、土曜日の朝。
起きてみると、なんだか身体に違和感。
見ると、腕、脚、腹、背中――ありとあらゆるところに紅く小さな発疹が出ていた。
全身湿疹である。
かゆみはあまりない。
人間の皮膚というのは、これほど情報量の多い臓器だったのかと感心しながら、慌てて鏡を覗き込む。
顔に湿疹が出ていないのが唯一の救いだが、だからといって何も救われてはいない。
現在、明日の皮膚科通院を予定している。
自己判断は禁物。
インターネットの医療情報という名の迷宮を彷徨うより、プロの診断を仰ぐべきである。
風邪に続き、湿疹。
まるで体調不良のオンパレードだ。
いったい何が起きているのか。
なにかに呪われているのか、それとも過労か。
いや、もしかしたら年齢のせいかもしれない。
人は年齢のせいにすると少しだけ楽になるものだ。
それにしても、体調というのは「気をつけていれば大丈夫」という単純なものではないらしい。
健康を維持することはもちろん大事だが、崩れる時は崩れる。
身体とは、常に自分の言うことを聞いてくれる忠実な相棒ではない。
だからこそ、無理をしないこと。
ちゃんと休むこと。
そして、なにより「不調は誰にでもある」と開き直ることも、現代を生き抜く知恵なのかもしれない。
とはいえ、もうこれ以上、謎の症状には見舞われたくない。
明日の診察で「原因不明」と言われないことを、切に願うばかりである。