人は驚くほど簡単に、あっという間に死ぬ。
というか、いつ死ぬかは本当にわからないものである。
ならば、自分の時間をどう使うべきか?
『あっという間に人は死ぬから』は、そんなシンプルかつ本質的な問いに真正面から向き合い、「人生を浪費しないための実践的な方法」を提示する一冊だった。
自己啓発書の本質
自己啓発書の本質は結局この3つである。
⇒浪費するな
⇒必要なことに時間を割け
⇒くだらないことはやめろ
結局、人生の質は “自分が何に時間を使ったか”であり、時間をどうコントロールするかが重要なのだ。
この考え方について、名著『七つの習慣』が引用されていて、
“「緊急ではないが重要なこと」に意識的に時間を使うべき”
ということは意識しておきたい。
具体的には、人間関係の構築、健康維持、学習・自己啓発などが挙げられていた。
自己欺瞞が人生を浪費させている
さてさて、本書が他の自己啓発書と一線を画しているように感じたのは、”自己欺瞞”に鋭く切り込んでいる点である。
自己欺瞞とは”自分で自分にウソをつくこと”を指す。
特に”自分では気づいていないウソ”ほど厄介。
たとえば、
「今は忙しいから後回しにしよう」
「タイミングが悪いから仕方ない」
などと、自分に言い訳をし続けているうちに、本当に大事なことから目をそらし続けてしまう。
これこそが、人生の浪費の正体なのだ。
人生に対して主体的に参加する
著者は、人生を無駄にしないために
「変えられないものと変えられるものを区別すること」
が重要だと説く。
さらに、「人生には苦しみが必要である」とも述べている。
これは、単なるポジティブ思考ではなく、 「人生の困難に主体的に向き合う姿勢」 を持つことを意味している。
「なんとなく楽な道を選ぶ」のではなく、自分の価値観に基づいて「何を大切にするのか」を決め、
それに沿った行動を取ることが求められる。
人生の目標設定とPDCAサイクルの実践
本書の大きな特徴として、「人生の目標設定をワーク形式で実践できる点」が挙げられる。
目的(価値観) …人生を通じて大切にしたいこと
目標 …価値観に沿って行動した結果、どうなっていたいか
手段 …目標を達成するための具体的な行動
これらを定期的に見直し、PDCAサイクルを回すことで、人生の軌道修正を行う。
特に 「価値観は変わるものである」 という考え方は重要で、
常に自分の価値観を解像度高く見直し、より具体的な行動に落とし込むことが推奨されている。
例えば、「人の役に立つ」 という漠然とした価値観ではなく、「〇〇のスキルを使って、△△の人々に貢献する」 といった具体的な形に落とし込むことが重要。
読みやすく、わかりやすく、面白い。名著。
本書は、単なる自己啓発書ではなく、「人生の目標設定の教科書」とも言える一冊であった。
読みやすく、内容も実践的で、手元に置いて何度も読み返したくなる。
特に、「自己欺瞞に気づくこと」や「価値観の定期的な見直し」といった視点は、今まで自分が読んできた他の自己啓発書ではあまり強調されてこなかった部分で、大きな学びになった。
当分は手元に置いておき、時間を置いてまた読み直したいと思う。
なぜなら、 人生はあっという間に過ぎてしまうから。